先週、選抜大会の出場チームが決まった。すると、これが大炎上(笑)。一部の地区で準優勝したチームを差し置いて、ベスト4だったチームが選出されたので、各方面から非難ごうごうというわけ。ただ、冷静になって考えてみると、騒いでいるのは一部の人だけで、世間全体でとらえたら1%にも満たない程度のわずかな数。その証拠にこのブログなんて、ほとんど誰も見ていないし(笑)。決まったものは決まったものとして、それは覆らないという大人な考え方が必要だと思う。

今回の件は、ネット上でそれぞれに発言している人の言葉をよく見てみると、高校野球のことをよくわかっていない人も多いようで、わたしにはけっこう滑稽な話に思えてしまう。笑ってしまった一つの例が、“決勝戦でコールド負けしたならいざ知らず・・・”という発言。残念ながら、県大会でも地区大会でも、決勝戦は9回成立をもって試合の成立となっているので、何点差がつこうがコールドゲームはないわけで。あり得るとするなら、降雨などで試合続行不能になった場合だけなんだけどね。

今回の選出は主催者が決めたことなので、その選考委員の間でどんな要素が考慮されたのかは、想像することしかできないけれど。問題の原因となることを突き詰めていくと、選抜大会における各地区ごとの出場枠に差がありすぎるということに行きつく。実際の人口とか加盟しているチーム数をもとにして、出場枠が割り振られているわけではないことは明らかだけど。

というより、高校野球の地区分けが不自然だと思ったことのある人は多いのではないかと思う。高校野球の世界では、山梨県は関東地区だし、今回問題となった静岡県は東海地区。本当なのかどうかはわからないけど、他県への遠征をしやすいように現在の地区分けになったと聞いたことがある。学校では中部地方だと習うはずの山梨県は関東に組み入れ、さらに新潟県や福井県、岐阜県と愛知県などを無理やり北信越と東海に分けているのだとか。

ではなぜ、それなりに人口の多い東海地方の出場枠が2チームになっているかというと、それは選抜大会を主催する新聞社の売り上げ部数が少ないから。販売部数が少ないからその当てつけで減らしている、というのは語弊があるけれど、〇〇新聞は春の年度替わりの時期に開催される選抜大会に合わせて販売促進活動をやっているのは事実(※学生時代に〇〇新聞を取っていたときに教えてもらった)。

基本的に入場収入で成り立っている高校野球が、どれほど主催新聞社に気を遣う必要があるのかはわからないけれど。今回問題となった静岡県ばかりからの出場になってしまうと、〇〇新聞中部本社の管内となる東海三県からの出場がなくなってしまい、販売部数に影響が出てしまうし、地元欄に掲載する記事がなくなる。そんな要素が考慮されて、今回の選考に到っただろうなーというのは、実は容易に想像がつく。

ここ数年はコロナの影響で無観客開催や入場者数に制限が加えられることもあり、主催者の剰余金も底をつきかけているからね。そこへもってきて、昨年おこなったクラウドファンディングで集まった資金は目標額には到底届かない額だったとか。今後は主催新聞社に応分の負担を求める可能性もまったくないとは言い切れないので、〇〇新聞社が破綻してしまう恐れのあるような事態だけは避けたかったのだと思う。

社会全体で新聞は斜陽産業なので、これまでと同じ形式でいつまで大会を継続できるかはわからない。今回の件では、高校野球も新たなスポンサーを探す時期が到来しているのかなと思った。出場チームを選ぶのは、大会を開催する側が持ちうる権限のようだからね。その決定に異を唱える人は、自分で出資して大会を主催してほしい(新たなスポンサーになってほしい)と思う。いずれにしても、個人的事情が重なるため今年の大会は見に行けないので、わたしにとってあまり実感のない話になってしまった。