高校野球観戦日記

高校野球を見たときことをつづります。 このブログはおもに毎年春と夏に更新しています。テレビに映らないプレーを見るのが宗旨です。

2013/03

第85回選抜3回戦・県岐阜商v大阪桐蔭

前の試合の途中から、風向きがライトから吹くいつもの浜風に変わった。上空は薄い雲があるものの、日差しが照りつけている中での試合。試合前のスターティングメンバー発表で、大桐蔭#2の名前がないのが気になった。グランドをよく見ると、大桐蔭#2は足を引きずりながら歩いている。どうやら何かの負傷があって出場できなくなったようだ。
試合は1回裏、大桐蔭が4安打を集中して2点を先制した。これで流れは大桐蔭かと思ったが、続く2回に意外な展開になる。県岐商は2回表、一死一二塁から7番の適時打、さらに野選で2-2の同点とし、なおも続いた二死二三塁から1番の適時打で4-2と逆転に成功する。県岐商はさらに3回表にも一死三塁から5番の適時打で1点を追加して5-2とリードを広げた。対する大桐蔭は3回裏、一死一三塁から4番の左犠飛で1点を返し、5回裏も二死一二塁から5番の二塁打で1点を返して5-4として追い上げる。しかし6回以降は一進一退の攻防が続き走者は出るものの、両チームの#1がふんばって追加点を許さない。そして1点差のまま迎えた9回裏、大桐蔭は二死から安打と敵失で一二塁とし、4番の中前安打で二走が本塁を狙ったものの、中堅手からの返球を捕球していた捕手に対する体当たりが審判に守備妨害をとられ(当然だろう)ゲームセット。試合終了の整列はしたものの、その後県岐商#2は校歌斉唱に加わることなく退いた。さらに応援団のあいさつに向かう途中で、試合中に右脚に死球を受けていた県岐商#1も退いてしまった。最終回は1球ごとにスタンドのどよめきと歓声が大きくなったが、やや後味の悪い幕切れとなってしまったことが残念である。
大桐蔭としては2点を先制した直後の2回表の守備で先頭打者を簡単に歩かして出塁させてしまったことと、このイニングに守備のミスがいくつか集中して出てしまったのが痛かった。追いかける展開となったあとは、3回裏と5回裏の好機でたたみかけることができず、いずれのイニングも1点どまりだったことが最終的に響いた感がある。県岐商の守備は大桐蔭の打力に相応の敬意を払っており、外野手はほぼ常時やや深めに守っていただけに、持ち前の攻撃力を十分に発揮できなかったことが惜しまれる。県岐商は打者ごとにベンチから守備位置の細かい指示が出ており、大桐蔭の各打者について傾向を研究していたものと推察される。それ以外にも県岐商は投手からの一塁への牽制球のときに、内野手と外野手の6人がほぼ同時に決め事に従ってバックアップの動きをしていたのが印象に残った。昨夏も県岐商の試合を見る機会があったが、守備の細かい要素を徹底していると感じさせられる。そして野球以外の要素としては、県岐商が6回の攻撃で演奏していた千葉ロッテのチャンステーマと青いタオル回しが印象に残った。ちなみに球場を出ると外にも倒れた人がおり、物々しい雰囲気のなかで担架が運ばれていた。今日の夕刻はどうやら甲子園球場にとって縁起がよくない時間帯だったようだ。

第85回選抜3回戦・済美v済々黌

上空は前の試合と変わらず晴天、風が少し舞うなかでの試合。この試合でも済々黌は大応援団がアルプススタンドに詰めかけている。そして試合前の整列を見ると、済美#1は身長が頭ひとつ抜けているのが分かる。“でか!”とスタンドで思わず声が出てしまった。
試合は戦前の予想通り、序盤から両投手の投げ合いになる。この試合で何に驚かされたかというと外野手の守備位置だ。中軸打者の数名以外は、両チームとも定位置より前方に守っている。相手打線の力量もあろうが、打たれない自信があるのだろう。打力上位の近年の高校野球において、芝生の半分より前の位置に外野手がこれだけ多くポジションを取っている試合を久しぶりに見た気がする。序盤は済々黌のほうが多く走者を出して押し気味に試合を進めるが、済美#1が要所を抑えて0-0のまま中盤まで進んだ。迎えた5回表、済美は二死三塁から9番の右前安打で1点を先制した。この場面、打球を追った二塁手が詰まった小飛球をグラブに当てたものの捕球できなかったが、前のイニングの攻撃で死球を受けていた影響があったのかなとあとで思わされた。対する済々黌は5回裏、二死一二塁から6番の中前適時打で1-1の同点とする。カウントが3-2になったため、外野手の守備位置があれほど前でも二塁走者の#1が生還できた。押し気味だった済々黌は先制されて嫌な雰囲気になりかかっていたが、その直後に追いついたところはまだツキがあったと思えた。試合はこのまま終盤に進んだが、済美は8回表に4番と5番がいずれも浅い外野の間を破る連続長打を放って3点を挙げて4-1とし、済々黌に反撃を許さずゲームセットになった。
済々黌は#1が終盤にきて投球が高めに浮いたところを、済美の中軸打線に痛打されてしまった。済美打線が逆方向への打撃を徹底しており、終盤にきてこれが実を結んだというべきだろう。済々黌としては序盤に再三得点圏に走者を進めていただけに、うまい具合に先制しておけば違った展開もあったと思う。前の試合での疲労もあっただろうが、それを許さず辛抱強く投げた済美#1が一枚上手だった。試合には直接関係ないが、済美の選手諸君が携えているエナメルバッグは肩からかける方式ではなく、リュックのように背負う形のものだった。


第85回選抜3回戦・高知v常葉菊川

急な人事異動があって職場が変わることになり、大会5日目の遠征が不可能な状況に突如陥ってしまった。そんなわけで一週間ぶりに甲子園球場を訪れてみると、桜が一気に満開になっていた。プレーボールの時間が迫っているので、桜見物は後回しにしてチケット売り場へ直行して入場券を買い、いつもどおりの一塁側内野席に入場した。上空は晴天、風は少し舞っているように思えるが、レフトからライトに吹いているなかでの試合。
菊川が1回表、一死一三塁から4番の中犠飛で1点を先制。その後は両チームともに毎回のように走者を出すが、両先発の#10がふんばって得点を許さず中盤まで試合は進んだ。高知は5回裏、このイニングから登板した菊川#1を攻めて一死満塁とし、4番の中犠飛で1-1の同点に追いついた。高知も6回表から#1が登板しともに継投策で終盤勝負の接戦になったが、1-1のまま迎えた8回裏、高知は一死一三塁から6番の左線適時二塁打と敵失で2点を挙げて勝ち越し、そのまま3-1でゲームセットになった。
菊川はほとんど毎回のように走者を出して高知を上回る7安打を放っただけに、初回に先制したあとの追加点を早い段階で取ることができていればと惜しまれる。得点圏に再三走者を進めただけに、あと一本が出なかったという印象である。高知は8回裏一死三塁の好機で打者の空振りを見た監督さんがタイムを取り、変化球を狙うようにと指示したようだがこの判断が当たった。
両チームとも守備位置をベンチから指示したり、状況に応じて守備位置を変えたりする部分は徹底していた。スコアや結果は別として、バックアップのカバーリングなどは細かいところまで行き届いた野球だったと思う。高知のブラスバンドが演奏していた金爆が印象に残った(というよりスタンドで聞いて笑えた)。

第85回選抜2回戦・浦和学院v土佐

上空は晴天、そしてほぼ無風のなかでの試合。土佐は試合前、応援団にあいさつに行くときも全力疾走だった。これほど徹底しているのは素晴らしいとしか言いようがない。
試合は浦和学が2回裏、一死一三塁から8番の中犠飛で1点を先制した。その後も浦和学が再三走者を出して押し気味に試合を進めるが、土佐の好守に阻まれて追加点が取れず1-0のまま中盤に進んだ。迎えた6回裏、浦和学は一死一二塁からの一ゴロ3→6→1A…(遊失)の間に二塁走者が生還して1点を追加した。この場面、一塁ベースカバーに入った#10がボールをこぼし、処理が一瞬遅れるのを二塁走者(浦和学#1である)が見逃さず一気に本塁を陥れた。走者が投手だったとはいえ見事な走塁だったといえよう。さらに浦和学は8回裏、二死二三塁から3番の適時打で4-0とし、終盤の土佐の反撃をしのぎ切ってこのままゲームセットになった。
浦和学は守備のとき、ほぼ1球ごとにベンチから内外野手に守備位置の指示が出されているのには驚かされた。攻撃のときも走者を塁に出すと、投球がワンバウンドになりそうなときは次打者も含めてベンチの選手が走塁の指示を出している。その集中力と徹底ぶりは、過去に見たことがないほどに圧倒的である。内外野のカバーリング、一塁手のベースタッチ確認、細かい要素までが徹底された好チームだとスタンドで唸らされた。選手個人の打力、打球の速さ、脚力、遠投能力などは、今さら言及するまでもない才能集団であることに疑いの余地はあるまい。この試合ではバントの失敗が3度あったが、走塁の瞬時の判断でそれを補ってしまった感がある。そして勝因は、ミスがまったくなかったバックの好守だと思う。
土佐は先発した#1が中盤まで好投しただけに、早い段階で同点に追いついておきたかった。4回表の一死二三塁の好機で、サイン見逃しによるスクイズ失敗が惜しまれる。そして失策で許した2点目が痛かった。終盤には毎回のように得点圏まで走者を進めただけに、防ぐことのできる失点を防いでおけば、十分に勝機を見出すことは可能な試合だった。土佐の全力疾走ばかりが取り沙汰されるが、バックアップのカバーの動きや、イニング間の投球練習後の捕手から二塁への送球を受ける二遊間の動きなど、細かい部分までを徹底してプレーしている点においては両チームともに満点と思える試合だった。

第85回選抜2回戦・菰野v北照

上空は前の試合から変わらず晴天、ほぼ無風のなかでの試合。暖かい一日になりそうだ。北照は3回表、一死一三塁から4番の一強襲安で1点を先制すると、5回表には無死一塁から3番の適時二塁打で1点を追加した。さらに北照は6回表に4安打を集中して一挙に4点を挙げてリードを広げ、終盤の8回にも1点を追加して7-0とし、試合はこのままゲームセットになった。
菰野は中盤以降、毎回安打を放って再三得点圏まで走者を進めたが、あと一本が出ず得点を返すことができなかった。走者を置いてからの北照#1の投球が優ったという印象である。菰野としては2回裏の好機で先制していればまた違った展開もあったと思う。北照は先制した3回表は無死一二塁から、追加点を挙げた5回表も無死一塁から3番が強攻してきた。もともと中軸に打順が回ればバントせずに打ってくる作戦だったのだろうが、この積極性が点差につながった感がある。
たしか北照の試合は3年前の選抜大会でも見た記憶があるが、そのときと比べて北照の守備は格段に細かくなっていて驚かされた。そして守備のとき、ボールが先行すると各内野手がマウンドへ駆け寄って北照#1に何度も声をかけているのが目にとまった。まとまりのあるいいチームと思わされる。菰野は右翼手の肩が強く、再三内野手に好返球を返していたのが印象に残った。そして菰野は9回表の守備で#10が登板したが、投球が速くスタンドがどよめいていたので、もっと早い回から投げさせてもよかった。

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