高校野球観戦日記

高校野球を見たときことをつづります。 このブログはおもに毎年春と夏に更新しています。テレビに映らないプレーを見るのが宗旨です。

2012/07

第94回岡山県大会決勝戦・倉敷商v創志学園

午前中は仕事をしたあと、午後から半日有給を取って車でマスカット球場へ向かった。職場から裏道を抜けて球場へ向かったので、渋滞に巻き込まれることもなく着くことができた。駐車場からカンカン照りの日差しが照りつけるなかを歩いてスタンドに向かい、階段を駆け上がって日陰になる2階席に陣取ることにした。マスカット球場の2階席は全体の守備位置を俯瞰することができるので、お気に入りのフィールドビジョンのひとつだ(ベンチが見えないのが玉に瑕だが)。スタンドに着いたとき、後攻チームのノックが始まっていた。試合前のフィールディング練習を見ていたが、創志の外野手はどの選手も返球が正確だと思った。
試合は倉敷商が2回表に7番の左犠飛で1点を先制したが、その裏創志は6番の適時打で同点に追いつくと、7番の内野ゴロの間に1点を挙げて2-1と逆転した。その後は倉敷商が毎回のように得点圏まで走者を進めて押し気味に試合を進め、6回表二死から7番の左越本塁打で2-2の同点とした。終盤勝負の接戦となり8回表に倉敷商が一死三塁から遊ゴロ野選で1点を勝ち越したが、その裏創志も一死三塁から2番代打(#16)の中犠飛で再び同点に追いつき試合は3-3のまま延長戦にもつれ込んだ。迎えた延長10回表、倉敷商は二死二塁から7番の左中間三塁打で1点を勝ち越し、その裏の創志の反撃を抑えて4-3でゲームセットになった。
全体的な印象としては、攻撃力でやや倉敷商が上回った感がある試合だった。両投手ともによく投げていたと思うが、創志#1は7回あたりの投球から疲労がうかがえた。誰にも責任のないことだが、イニングの合い間の投球練習が終わって打者に投球するとき、3回表と8回表は審判が水を飲んでいたため、創志#1がマウンドでしばらく待たされていたのが気の毒に思えた。そして5回裏の攻撃で創志#2が死球を顔面に受けたため、負傷退場を余儀なくされたのが痛かった。交代出場した創志#13もよく守っていたと思うが、捕手が代わったイニングに本塁打を浴びて同点とされたことが創志としては惜しまれる。
ところで10回表の勝ち越し点がはいる場面で、二死二塁から左中間方向へ三塁打が出たのだが、このとき投手は三塁方向のバックアップに走ることなくマウンド付近に立っていた。選手のそんな所作を見ると、この試合に勝てば全国大会という緊迫した雰囲気より、どこか牧歌的な印象を抱いたのは私だけだろうか。

第94回兵庫県大会5回戦・明石商v武庫荘総合

前の2試合に続いて、この試合もネット裏から観戦することにした。上空はライトからレフトに緩やかな風が吹き抜けているが、相変わらずカンカン照りの強い日差しのなかでの試合。試合前のフィールディング練習を見ていると、武庫総#8の肩がいちばん強いように感じた。
試合は明石商が1回表に一死一三塁からの内野ゴロで1点を先制すると、2回表には二死二塁から9番の左中間二塁打で1点を追加して2-0とした。その後はこう着したまま中盤まで試合が進んだが、3回裏の武庫総の攻撃を三者連続三振に打ち取るなど、明石商#1の出来が抜群によかった。グランド整備のあとの6回表、明石商は8番と1番の適時打に敵失がからんで一挙4点を挙げてリードを広げ、7回表にも2点を追加して8-0で7回コールドでゲームセットになった。
武庫総としては、守備の失策が失点に直結して先制を許し、試合の流れをつかむことができなかったことが惜しまれる。中盤からは明石商#1が調子を上げてきたため、つけこむ隙がほとんどなかった。明石商は序盤に先制したあと、中盤以降の好機にたたみかける攻撃と積極的な走塁が目にとまった。この日見た6チームの中では、明石商のバックアップの動きがいちばん俊敏で徹底されているように感じた。そして一塁手が相手打者走者のベースタッチをちゃんと目視確認していた。野球に関係ないこととしては、得点が入ったときに明石商が演奏する笑点の曲が耳に残った。

第94回兵庫県大会5回戦・東洋大姫路v尼崎双星・尼崎産・尼崎東連合

試合前のフィールディング練習を見たところ、東洋姫と連合チームの力の差は大きいようにも思えた。しかし双産東は捕手が二人いたようだが(#2と#13)、捕手で先発出場したのは#7。連合チームだからといって、選手層が薄いと考えるのは早計ということだろう。ここまで勝ち上がってきている事実を考慮すれば、双産東の投手陣が失点を最小限に抑えれば勝機はあるかもしれまい。カンカン照りの日差しが照りつける暑いなかでの試合となった。
試合は1回表に東洋姫が野選で先制したが、3回裏に双産東は二死三塁から2番の左前適時打で1-1の同点に追いついた。4回表に東洋姫が暴投で1点を勝ち越したが、その裏双産東は4番の三塁打と直後の初球ランニングスクイズ(投犠)で再び同点に追いついた。このスクイズのとき、まさか初球から動いてくるとは思っておらず完全によそ見をしていて見逃してしまった(痛恨)。5回を終わって安打は東洋姫が3本で双産東が6本と、想像していた以上に互角のいい勝負になった。同点で迎えた6回裏、双産東は先頭4番が左線二塁打で出塁し、送りバントが内野安打になって迎えた無死一三塁から続く6番の左前適時打で1点を勝ち越すと、さらに二死満塁から1番が走者一掃の右線三塁打を放ち、この回一気に4点を挙げてリードを広げた。7回表から双産東は二番手の#5が登板し、終盤の東洋姫の反撃を8回表の3点に抑えて6-5でゲームセットになった。
東洋姫は終盤に激しく追い上げたが、最後は双産東の継投にかわされてしまった。できれば双産東先発#10をもう少し早い回で打ち崩しておきたかった。9イニングトータルで試合を振り返ってみると、6回表の東洋姫の攻撃で双産東のファインプレーがあったり盗塁失敗があって、あっさり攻撃が終わってしまったことで流れが変わったように思う。
双産東はいい場面で打力のある1番と4番に打順が回ってきたが、これを単なる偶然で片付けるわけにはいくまい。双産東は#10と#5がひるむことなく投球しており、二人ともスライダーがよく決まっていたことが勝因といえる。試合序盤の双産東の守備を見ていたらこの先どうなるのかと不安にも思ったが、失点を最小限に抑えて投手陣がよく踏ん張った。そして連合チームがベスト8まで勝ち進む要因はまとまりのよさだと思う。ゲームセットのときのスタンドの応援、ベンチにいた控え選手、グランドの選手の一体感は素晴らしいと思った。地区予選で5度勝ったら全国大会へ行ける県もあるのだから、この連合チームが全国大会まで勝ち進んでほしいと思っているのは私だけではあるまい。


第94回兵庫県大会5回戦・滝川二v神戸国際大付

隣県である兵庫県の予選をいちど見に行きたいと思っていた。兵庫県の予選は4回戦が終わったあとは、1試合ごとに組み合わせ抽選をする。そして4回戦のあとで日程が1日空くので、試合の組み合わせを確認して見に行くことのできる5回戦あたりが狙い目と思っていた。明石球場は軟式高校野球の全国大会を見るために何度も足を運んでいるが、今回初めて入場料を支払ってスタンドに入った。キャパシティが小さめの明石球場だったので、スタンドがすし詰めなのではないかと気を揉んでいたが、あにはからんやスタンドは空席多数。腰かけて試合を見ることができるのでほっとするとともに、まだ5回戦であるゆえ満員になるはずもないのだと悟った(出場チームにもよろうが)。そして第一試合は午前9時開始予定だったが、5分ほど早くプレーボールのサイレンが鳴った。
2回表裏にともに適時打で1点ずつを取り合ったあとは、滝川二#1と神国付二番手#14が好投して1点を争う投手戦になった。中盤以降はともに走者を出して手に汗握る攻防が続いたが、1-1のまま迎えた9回表、滝川二は無死二三塁からのランニングスクイズで1点を勝ち越すと、さらに二死満塁からの3番の二塁打で一挙4点を挙げて5-1と突き放し、試合はそのままゲームセットになった。
神国付は8回裏に一死満塁の好機を迎えたが、この場面で試みたランニングスクイズが投ゴロ併殺に終わってしまい逸機したのが惜しまれる。滝川二も5回表にスクイズを失敗していたが、やはり終盤にきて好機を逃すと試合の流れに影響する。神国付は1回裏に一死一二塁で中軸に打順が回ったが、4番と5番が凡退して先制できなかったのが痛かった。神国付の中軸の右打者は、試合を通じて滝川二#1の変化球にタイミングが合っていなかったように思う。
滝川二は二番手として2回表途中から登板した左投げの神国付#14のセットのくせを、試合の半ばには見抜いて盗塁を何度か成功させたのが大きかった。試合の終盤にピンチをしのいだり、勝ち越し点を挙げたりしたときの滝川二の応援の歓声が印象的だった。明石球場はスタンドが小さくて外野手の守備位置の距離感がつかみづらかったが、走者が得点圏に進塁すると、両チームともに的確にポジションを変えていたと思う。

余談・ほっともっとフィールドの芝生について

今年も徐々に全国各地で高校野球の予選が佳境に入っている。家庭の事情が許すかぎり、予選から現場へ足を運ぼうと考えているところだ。ところで、私の住む近県にある球場の気になる話を聞いたので、ここに記しておこうと思う。

先月とあるアイドルグループのイベントを、ほっともっとフィールド神戸(旧グリーンスタジアム神戸)で開催したらしい。このイベントが雨のなかでの開催となり、集まったファンが外野の芝生の上で列を作った影響で、芝生がはげてしまったようだ。写真で見ると、列を作った形がはっきりと分かる。そして先週末、芝生が枯れた状態でオリックスの公式戦をおこなったところ、打球の処理を誤る野手がいたという(因果関係は不明だが)。

高校野球の兵庫県予選は、年によって決勝戦をおこなう試合会場が変わることがあるのだが、今年はほっともっとフィールドで開催されると聞いている。ちょっと調べたところ、詳しい日程は確認できなかったが、ほっともっとフィールドでは準々決勝以降の試合をおこなうようだ。そして高校野球の開催に合わせて、球場の芝を張り替えるという。できればいい条件のもとで、試合を開催してほしいと願わずにはいられない。隣の県に住んでいるとはいえ、兵庫県の予選は縁がなくて見に行ったことはないのだが。

ヨーロッパへサッカーやラグビーを見に行くと、そのピッチの緑の美しさに目を奪われる。特に英国は、イングランドでもスコットランドでも、芝生の養生が抜群だ。日本とヨーロッパでは土壌や気候風土、そして芝生の種類も違うので、一概に比較することはできないのかもしれない。しかしながら、どうも日本はヨーロッパと比較して、芝生が美しく生え揃いにくいように思える。

にもかかわらず、芝生の養生など考えるはずもない多くの人々を、保護ボードを敷かずにフィールドに入場させたことには首をかしげる。グランドを常によい状態に保つことを優先させるなら、スポーツ以外のイベントでは使用しなくてもよいと思う。実際にトゥイッケナム(ラグビーの聖地と呼ばれるロンドン近郊のラグビー場)は、一年間で数えるほどの試合しかおこなわず、そのかわり芝生は常に美しい状態に保たれているという。

個人的には、甲子園球場でもどの球場でも、芝生はきれいに保たれているほうがいいと思う。野球場のあり方について考えさせられる一件だった。いずれにせよ、甲子園球場のグランドの手入れをしてくださっている阪神園芸の皆さんには頭が下がります。

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